宙組の「黒蜥蜴」を配信で観た。トカゲって読むのか。結構直前までなぜかアゲハって読んでたわ。
めちゃくちゃ良かったな。宝塚観劇歴10年くらいになるけど。芝居としては過去1良かったかも。
原作も映画版も未読/未視聴で完全に初めて観たけど、すごく引き込まれた。耽美でダークな世界観が元々好きなのもあるけど、終盤になるにつれて宝塚を観ていることを忘れて物語としてすごく没入できた。宝塚の芝居って筋がシンプルにされてることが多いけど、全然手加減を感じない純文学の香りで非常に美味しかった。
良かった場面
薔薇の花束をもらった女性の譬え話のシーンがまずよくて、明智(桜木みなとさん)が持つ独特な犯罪観、女性観?をわかりやすく美しく表現されていた。そのシーンがあることで、なぜお互いがお互いに惹かれていくのかがよくわかり、その後のストーリー展開に納得感があった。
ヅカだと結構急に好きになっちゃったりする(尺の問題もある)ことが多いので、愛に関して疑り深いわたしにとっては嬉しいポイントだった。最後まで、丁寧に内面の葛藤(特に黒蜥蜴側から…)が描かれていて素晴らしかった。
あと良かったのはマイティー。序盤から黒蜥蜴に対する盲従の目をしていて好印象であったが、やっぱり早苗と一緒に捕まったシーンが本当に最高だった。あんなに綺麗な人なのに、あんなに情けないキモい笑顔ができるものかと驚き感心した。配信だと汗だくなのも見えて有難い。
この場面自体が好きだな。愛を探している二人が、死を以て愛を完成させるために手を取り合う。良いね。本当に死んでいてくれたらなお好みの展開だった。原作はそうだったりしないのかなあ。
「いつになったら爬虫類になれるんですか!?」はちょっと笑った。
夜光虫のセットめちゃくちゃ綺麗でしたね。
素晴らしいトップコンビ
まず桜木みなとさん。どちらかと言うと妖精?王子様?みたいなイメージを持っていたんだけど、こんな影のある大人の男が似合うとは。
どちらかというと明智はずっと感情を抑制したようなキャラだけど、黒蜥蜴への愛に突き動かされて潜伏し、松吉?に扮しながらも黒と影に寄り添い、声までかけてしまい、最後黒蜥蜴の死を目の前にするシーンまでの感情の高まりや揺らぎが自然にかつダイナミックに表現されていた。これは本当にすごいことで、結構この短さのお芝居だと急にそんな好きになる!?みたいになっちゃったりするし、逆に盛り上がるところで盛り上がりきれなくてサラッと終わってしまうこともあったりする。でも桜木さんは本当に卓越した表現力で、生身の男の心情を演じ切った。
春乃さくらさんについて。春乃さんも、笑顔が陽100%!エネルギー!というイメージを私は持っていたので、こんな真っ黒い衣装の魔性の女の役を演じる姿が全くイメージできなかった。が、お芝居を観たら、黒蜥蜴のダークな魅力と持ち前のまっすぐな輝きを本当に絶妙に融合した新しい「黒蜥蜴」を編み出されていて感動した。
黒蜥蜴の純粋さ、魂の輝きをダイヤモンドに喩えるのが原作からそうなのか知らないが、そうだとしたら彼女しかいないだろうと思わせるほど、黒蜥蜴の心の中の闇と煌めきを完全に表現していた。愛してはいけない男を愛してしまったこと、愛している男を殺すしかないことに葛藤するシーンはこちらも胸が苦しくなるほどだった。
観て良かった
原作も読んで映画も観ようと思った。この作品の魅力のどこまでが原作由来で、どこまでが戯曲由来で、どこからが今回の公演特有なのか知りたい。あとマイティーの話をもっと聞いてあげたい。楽しみが増えた。
ショーもよかったですよ。ロケットのセンターの方の笑顔が眩しかったです。
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2026/kurotokage/index.html